ブルンジ産コーヒーの特徴：種類や格付け、栽培方法と合わせて解説

東アフリカに位置するブルンジは、小国ながらもコーヒー生産において世界的な注目を集める生産国のひとつです。火山性土壌と標高1,500m以上の山岳地帯という恵まれた環境により、明るい酸味と紅茶のような香りを併せ持つ、クリーンでエレガントな味わいが特徴とされています。

とくにウォッシュド（湿式精製）で仕上げられたブルンジコーヒーは、スペシャルティコーヒー市場でも高評価を獲得しており、カッピングスコアの高さからもその実力がうかがえます。

本記事では、ブルンジ産コーヒーの特徴だけでなく、代表的な品種や等級（格付け）、栽培されている地域や農法など、コーヒーラバーが知っておきたい情報を詳しく解説します。アフリカ産コーヒーの中でも、特に「香りと透明感」にこだわる方におすすめのブルンジの魅力に迫ります。

ブルンジ共和国の特徴

ブルンジ共和国は、アフリカ中東部に位置する内陸国で、ルワンダ、タンザニア、コンゴ民主共和国と国境を接しています。国土の多くは丘陵地帯や山岳地帯で占められており、標高1,500m〜2,000m級の高地が広がっています。赤道に近いながらも、こうした高地のおかげで年間を通して温暖で穏やかな気候が保たれ、農業に適した環境が整っています。

ブルンジの主な産業は農業で、その中でもコーヒーは最大の輸出作物であり、経済の根幹を支える重要な収入源となっています。

特にアラビカ種の栽培に力を入れており、スペシャルティコーヒー市場においても近年注目が高まってきました。

国土は小さくインフラも未発達な部分が多いものの、その分、手摘みによる丁寧な収穫やウォッシングステーションを中心とした小規模精製所の発展など、品質志向の高い生産体制が根付きつつあります。

自然豊かな環境と人の手による精密な仕事が、ブルンジ産コーヒーの個性を育てているのです。

ブルンジ産コーヒーの特徴

ブルンジ産コーヒーの最大の特徴は、その「透明感のある酸味」と「紅茶のような香り高さ」にあります。これは、標高1,800m前後の高地に広がる肥沃な火山性土壌と、適度な日照・降雨による絶妙な生育環境が生み出す、まさにテロワールの賜物といえます。

ブルンジでは約60万世帯もの小規模農家がコーヒー栽培を行っており、ほとんどがアラビカ種・ブルボン系統。

収穫はすべて手摘みで行われ、近隣のウォッシングステーションで精製されます。精製方法はウォッシュドが主流で、フルーティさとクリーンカップを両立した高品質な豆が多く、スペシャルティコーヒー市場でも高評価を得ています。

豆本来のポテンシャルが高く、明るく繊細な酸味と、ラズベリーやピーチ、ジャスミンティーのような華やかな香りが特徴です。バランスの取れた味わいと洗練された印象は、まさに“アフリカの宝石”と呼ぶにふさわしい魅力を備えています。

味

ブルンジコーヒーは、「明るく繊細な酸味」と「ティーライクな香り」が際立つ味わいが特徴です。ベリー系や柑橘系のジューシーなフレーバーが口に広がり、後味はクリーンで雑味が少なく、すっきりとした印象を残します。

特に紅茶のような香気成分を感じるカップも多く、フローラル系のニュアンスや、時にはハーブのような爽やかさも漂います。

焙煎度によって個性が大きく変わる点も特徴で、浅煎りではフルーティな明るさが際立ち、深煎りでは甘みとコクが引き立ちます。生産ロットやウォッシングステーションの違いによっても味の表情が豊かに変わるため、バリスタやコーヒー愛好家の間では“飲み比べ”を楽しむ産地としても高い人気を誇ります。

格付け・等級

ブルンジにおけるコーヒー豆の等級制度は、国際的な等級付けシステムとは一部異なり、同国内では Autorité de Régulation de la Filière Café au Burundi（ARFIC）などが定めた基準に沿って「スクリーンサイズ」や「欠点豆数」による分類が行われています。

ただし、国際的な“NG1／NG2”といったレベルまで詳細に一般公開された日本語資料は確認できず、等級はあくまで“外観・欠点数”に基づく定量的指標であるとともに、最終的な風味の評価は「カッピングスコア」に委ねられています。

参考記事：Coffee from Burundi, studies for the development of the “Specialty Coffee” supply chain

精製方法

ブルンジのコーヒーはそのほとんどがウォッシュド（湿式精製）で処理されており、これがクリーンで繊細な味わいを生む鍵となっています。

収穫されたチェリーは、近隣のウォッシングステーションへと運ばれ、水槽で比重選別された後、果肉除去（パルピング）が行われます。

その後、発酵槽で12〜18時間ほど発酵させ、粘液質（ミューシレージ）を分解。さらに水洗とアフリカンベッド上での天日乾燥を経て、ようやく脱殻・グレーディングされます。

最近では、ナチュラルやハニー製法によるマイクロロットも徐々に増えており、ブルンジ産コーヒーの表現力の幅をさらに広げています。

特に近年はトレーサビリティやロット管理の向上が進み、生産者とロースターを結ぶダイレクトトレードが活性化。精製プロセスの透明性と品質向上が、ブルンジコーヒーの国際的評価を一層高める要因となっています。

ブルンジ産コーヒー豆の栽培方法

ブルンジ産コーヒーの栽培は、国土のかなりの割合を占める高地丘陵地帯、特に標高1 400～2 000 m級のエリアにおいて、小規模農家による手摘み栽培が主体です。

肥沃な火山性土壌に加え、年間降雨・乾季のメリハリある気候が、コーヒーチェリーをゆっくりと成熟させる理想的な環境を提供しています。

主要な生産サイクルとしては、雨季末（３～４月）から摘み取りが始まり、乾季に入る前の６～７月ごろまでが収穫期となる地域が多く見られます。

小農家は１戸あたり数十〜数百本のコーヒーノ木を管理し、ほかの作物や家畜と複合的に農業を行うことが一般的です。

収穫後は、近隣のウォッシングステーション（精製施設）へチェリーを持ち込み、浮選・果肉除去・発酵・水洗・天日乾燥という流れを経てグリーンコーヒーへと加工されます。

こうした手法や環境により、ブルンジ産コーヒーは透明感ある酸味・果実感豊かなカップクオリティを実現できています。

さらに、近年ではマイクロロット管理・選別精度の向上・トレーサビリティの強化が進んでおり、生産者、共同組合、精製施設間で品質意識が高まっている点も見逃せません。

主要な生産地

ブルンジのコーヒー生産で特に知られる地域には、北部・北東部のKayanza（キャンザ）州およびNgozi（ンゴジ）州があります。Kayanzaでは標高1 700～2000 mの農園が多く、高い酸味と品質が評価されており、2015年のカップ・オブ・エクセレンスでは91点を超えるロットが選出された実績もあります。

Ngoziも同様に高地で、良質ロットが出る地区ですが、生産規模はいくらか小さめです。また、北東部のMuyinga州、Karusi州、Cankuzo州、Gitega州にもコーヒー農園が広がっています。

地域の共通点として、標高が高く、昼夜の気温差が大きい点、さらには火山性あるいは赤土系の肥沃な土壌が挙げられます。こうした条件がチェリーの成熟を遅くし、糖・酸・香気成分をゆっくりと蓄えることを可能にしています。

ブルンジ産コーヒー豆の歴史

ブルンジにおけるコーヒー栽培の歴史は、20世紀初頭、植民地時代に始まります。ベルギー統治下の1920～30年代にアラビカ種が導入され、農家はコーヒー栽培を義務付けられていました。

962年の独立後、コーヒー産業は私有化・国有化を交えながら変遷し、1990年代の内戦・社会不安によって大きな打撃を受けました。多くの農園が放棄され、コーヒー生産量は劇的に落ち込みました。

しかし2000年代以降、スペシャルティコーヒー市場の台頭とともに、ブルンジのコーヒーも「量から質へ」という転換期を迎え、小規模農家・共同組合・ウォッシングステーションの改革、トレーサビリティの整備、マイクロロットの輸出が活性化しました。

現在では、ブルンジのコーヒー産業は国の主要な外貨獲得手段となっており、600,000〜800,000世帯近くがコーヒー栽培に従事しているという報告もあります。

うして、ブルンジは「過去の商業用アラビカ農園国」から、「品質を重視するスペシャルティ産地」へと進化しており、味わい・背景・生産者を含めた“ストーリー性”を求めるコーヒー市場から注目を集めています。

通販で買えるおすすめのブルンジ産コーヒー2選

通販で買えるおすすめのブルンジ産コーヒー2選を解説します。

①Myoko Coffee「Burundi・Nyenzi・washed・浅煎り」

Myoko Coffeeが夏季限定で販売する「Burundi・Nyenzi・washed・浅煎り」は、ブルンジ東部に位置する標高1,670mの「Nyenzi（ニエンイ）ウォッシングステーション」で精製された、特別なロットのスペシャルティコーヒーです。

栽培地は、アフリカの大地溝帯にあたる火山性の赤土で構成されたエリアで、酸性土壌・昼夜の寒暖差・高標高という好条件が揃っており、コーヒー栽培に極めて適したテロワールを誇ります。

この豆はウォッシュド（湿式精製）で処理されており、チェリーは収穫後すぐに果肉除去され、発酵・水洗・天日乾燥というプロセスを経て、クリーンで風味豊かなグリーンコーヒーへと仕上げられます。

その結果として、カップにはブルーベリーやラズベリーを思わせるベリー系の濃密な果実味と、オレンジやグレープフルーツのような柑橘系の明るい酸味が見事に共存し、フルーティかつ爽やかな後味が印象に残ります。

特にこの「浅煎り」仕立てでは、ブルンジ豆本来の繊細な風味が最大限に引き出されており、アイスコーヒーや夏向けのアレンジにも最適。高品質ロットを手軽に楽しめるように設計されたこの商品は、ブルンジコーヒーの魅力を初めて体験する方はもちろん、通なコーヒーラバーにとっても十分な満足感を与える一本です。

②P CABIN COFFEE ROASTER「Burundi Nienyi Washed（100g）

P CABIN COFFEE ROASTER「Burundi Nienyi Washed（100g）では、果実感と酸味のバランスが非常に優れた一杯を楽しめる逸品です。栽培品種はアラビカ種の中でも高品質とされる「ブルボン種（Bourbon）」で、栽培地はブルンジ国内のカルジ地域。精製方法には、雑味の少ないクリーンな味わいを引き出すウォッシュドプロセスが採用されています。

味わいの特徴としては、カシスやブラックベリー、ブルーベリーといったベリー系の凝縮された果実味に加え、オレンジやグレープフルーツを思わせる明るい酸味が広がります。さらに、甘みとの調和が取れており、浅煎りでも深煎りでも楽しめる“表情豊かな豆”として紹介されています。

また、P CABINでは焙煎豆を在庫せず、注文を受けてから焙煎する「受注焙煎」を採用しており、常にフレッシュな状態で届けることを重視している点も魅力です。100gという少量パックは、まずブルンジ産を試してみたいという方や、自宅での飲み比べ用途にも最適です。

ブルンジ共和国産コーヒーの飲み方

ブルンジ産コーヒーは、その独特なテロワールと処理方法から、香り・酸味・果実感が際立ったカップクオリティを持っています。

例えば、「明るい柑橘系の酸味」「ベリー系の果実味」「紅茶のようなしっとりとした質感」といった特徴がよく挙げられます。

おすすめの焙煎度合い

ブルンジ産コーヒーでは、浅〜中煎りがとくにその個性を引き出しやすい傾向があります。例えば、火山性の赤土や高地栽培による高密度豆では、軽めに焙煎することで果実味と明るい酸味がクリアに感じられます。

一方で、やや深めに焙煎することで甘みやナッツ・チョコレート系のニュアンスが加わるため、好みに応じて「浅煎りで透明感重視」「中煎りで甘み・コク重視」と分けるのも有効です。過度な深煎りは、せっかくの個性を失わせる恐れがあるため、ダークローストには慎重を要します。

おすすめの抽出方法

抽出方法としては、香りと酸味を活かすハンドドリップ（V60など）やフレンチプレスの“中挽き抽出”がおすすめです。あるガイドでは「ブルンジは中煎り・ハンドドリップで、風味を壊さずに楽しむのが理想」としています。

また、透明な酸味と果実フレーバーを持つため、湯温を少し低め（90‐93度程度）に設定し、抽出時間を短めにすると雑味を抑えながらクリアな味わいを得られます。さらに「アイスコーヒーや冷やして飲む」スタイルも、明るい酸と軽やかな果実味を活かす良い選択肢です。

まとめ：ブルンジ産コーヒーの特徴：種類や格付け、栽培方法と合わせて解説

ブルンジ産コーヒーは、標高1,600m以上の高地と火山性の赤土が育む、ベリー系の果実感と明るい酸味が魅力のスペシャルティコーヒーです。主にブルボン種が栽培され、ウォッシュド精製が主流。格付けは欠点豆数とスクリーンサイズで判断され、品質にこだわるロースターやカフェに高く評価されています。個性豊かな味わいを求める方におすすめの産地です。