独特の風味と深い歴史を持つ「イエメンコーヒー」。近年、スペシャルティコーヒー市場でも注目を集めており、特に「モカマタリ」という名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

イエメンは世界で最も古いコーヒー栽培地のひとつであり、その乾燥した気候や伝統的な栽培方法が、他にはない香味を生み出しています。
フルーティーかつスパイシー、時にはワインのような風味すら感じさせるその味わいは、コーヒー通にとって特別な存在です。
本記事では、イエメンコーヒーの歴史や産地、代表的な銘柄、そしてモカマタリの魅力について詳しく解説します。個性的な一杯を探している方に、ぜひ知ってほしい内容です。
執筆者情報
関西在住のアラサー。コーヒー沼にハマり、自家焙煎コーヒー豆を買い漁る毎日。好きなコーヒー銘柄はエチオピアのイルガチェフェ。
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イエメンコーヒーの特徴
イエメンコーヒーは、世界的に“モカ”の名で知られる起源のひとつで、標高1500〜2400 mの険しい高地でナチュラル精製された、丸みのあるショートベリーが特徴。
果実がついたまま屋根上や棚で天日乾燥する伝統的工程により、ワインのような鮮烈な酸味、赤果実の甘み、チョコレートやスパイスの複雑な香味を獲得。
また最高級銘柄“バニーマタル=モカマタリ”は、アールマッカやNo.9等級が世界的評価を得ています。
品種・銘柄
イエメンコーヒーは、そもそもアラビカ種の原種であるTypicaの自然変異が数百年にわたって微細な自家交配を続け、近年「ヒエロルーム(Heirloom)」と総称される遺伝群として扱われています。
分類上は丸みのあるショートベリーが主体で、農家や市場ではむしろ「品種名」より生産地域名が重視されます。
たとえば、イエメン北部・サナア西方のバニー・マタル(Bani Matar)地区産は「モカマタリ(Mocca Mattari)」と呼ばれ、最も評価が高く、国際的なスペシャルティ市場でも高価格で取引されます。
他に、サナア近郊では「モカ・サナニ(Mocha Sanani/Al‑Sanani)」、タイズ県では「モカ・ハラージ(Al‑Harazi/Al‑Hirazi)」、中部では「アラミスマイル(Al‑Ismaili)」など地域名で識別され、味の傾向も一応体系化されています。



モカマタリはチョコレートやワインに似た風味やスパイス香が際立つ一方、サナニはフルーティーで軽やかな酸味が特徴、ハラージは豊かな甘みと重厚なボディを湛え、イエスマイリ(Ismaili)はベリー系や柔らかな紅茶様の香味を伴います。
これら地域銘柄は、気候・土壌・収穫タイミングの微妙な違いに宿る「香味の個性の地理的表現」であり、多くのスペシャルティコーヒーショップではシングルオリジン銘柄として明記されています(“Al‑Mattari”や“Sanani”など)
等級(グレード)
イエメンでは、国際機関による統一的なグレーディング規格は存在せず、生産地名と豆の状態(外観・欠点数・粒サイズ)をもとにした伝統的な内向け格付けが主流です。
モカマタリにおいては大別して「アールマッカ(Al‑Rummakha)」=最高級グレード、「No.9」「No.8」「No.7」「No.6」と数字で階級化され、日本市場でもアールマッカと日本流通で最多のNo.9が高級として扱われます。
アールマッカは、スクリーンサイズ14以上/欠点豆がほぼない手選別された大粒豆で、ワインライクな酸味と洗練された甘み、長い余韻を備えた逸品です。



一方No.9はややサイズ・欠点にばらつきがあるものの、コスパながら香味バランスが良く、「仕事用」「中上級者向け」の選択肢として広く推奨されます。
等級が下がるほど粒が小さく欠点も増え、酸味・香複雑性が減じますが、ロースト度合い(中煎り〜深煎り)によっては、十分にイエメンらしさを味わえます。
グレード | 豆サイズ(スクリーン) | 欠点豆 | 香味の特徴 |
---|---|---|---|
アールマッカ | 14以上/大粒 | 極小 | 洗練されたワイン的酸味、豊かな果実甘、長い余韻 |
No.9 | 12‑13/中〜大粒 | 少なめ | バランス良好、果実感と香ばしさの調和 |
No.8〜No.6 | 11以下/中〜小粒 | やや多い | スパイスが強く、酸味・甘み控えめなコク重視タイプ |
味
イエメンコーヒーの味わいは他産地と比較して極めて個性的で、ナチュラル精製(非水洗式)の影響で豊かな熟成香と厚みを持つことが最大の魅力です。



特に中浅煎り(City〜Full City程度)に仕上げた際には、赤ワインのような透明感のある酸味、レーズンやスパイスのような香り、そしてチョコレート+ナッツのような甘いコクが一体となって現れます。
モカマタリでは温度が下がるにつれてベリーやブドウのような甘みが花開ち、冷めてもブランデーのような余韻が残ります。
また、スパイス香はカルダモンやシナモンに近く、まるでエキゾチックなガラムマサラのような複雑さがあります。
浅煎りでは酸味のシャープさ、中煎りではフルーティさと甘さのピーク、深煎りではスパイスとビターなコクが強調され、「時間と共に味の表情が移ろう」コーヒー体験を提供します。この揺らぎこそが、数少ない幻のコーヒーとして愛される理由です。
イエメンコーヒーの歴史
イエメンは、12世紀にイスラム圏へ向けたコーヒーの栽培・飲用が記録に登場した最古の地とされ、15世紀にはスーフィー聖職者らが祈祷中の覚醒用に“qahwah(コーヒー)”を定着させました。
16世紀以降、紅海岸のモカ港を介して世界中へ輸出され、“モカ”という名称の由来となりました。
17世紀には、ババ・ブダンがモカ港から7粒の生豆を持ち出し、インドへ伝えたと伝わります。
18〜19世紀、ジャワ島やブラジルでの大規模生産によりシェアを失いましたが、21世紀にはイエメン産“原種アラビカ”や伝統製法を活かしたマイクロロットが再評価され、スペシャルティコーヒーとして再び注目を浴びています。
また米国ではDearborn発の「Qahwah House」などがイエメン文化を広め、複数ロースターがイエメン豆を積極的に扱っています
イエメンコーヒー豆おすすめ3選
シーン別ニーズ | 選ぶなら |
---|---|
鮮やかな果実香と上質酸味を味わいたい | 土居珈琲 モカマタリ No.9 |
自家焙煎で風味を最大化したい | 松屋珈琲 モカマタリ No.9 生豆 |
果実の甘さ × スパイス感 という個性を楽しみたい | チモト コーヒー クラシックモカ |
土居珈琲 モカマタリ No.9
土居珈琲の「モカマタリNo.9」は、イエメン北西部バニーマタル地区のナチュラル精製によるNo.9グレード豆を、ミディアム〜シティローストで仕上げ。完熟ぶどうや柑橘を思わせる甘酸味があり、ワインのような余韻と後味のクリアさが際立つ、上品かつ複雑な香味の逸品です。


松屋珈琲 モカマタリ No.9 生豆
松屋珈琲の「イエメン マタリNo.9」は、標高約1,000〜3,000 mの山岳地に由来する原種アラビカ。欠点豆を厳選した生豆仕様で、自家焙煎向け。ナチュラル製法ならではのミネラル感と抑えた酸味、かすかなスパイスと甘みが静かに広がる、焙煎することで味の調整も楽しめる柔軟な豆です。


イエメンコーヒーに関するよくある質問
イエメンコーヒーに関するよくある質問を解説します。
モカマタリの特徴とは?
イエメン北部・バニーマタル産アラビカ「モカマタリ」は、伝統的な天日乾燥(ナチュラル精製)と高地栽培(標高約2,000 m)によって育まれた極めて香り高いコーヒーです。
「赤ワイン」のような甘く熟した果実の香りと、ピークのしっかりした果実酸、後追いで感じるシナモンなどスパイス系の複雑な香味が特徴。
豊かな果実味かつ奥深いコクを持ち、“貴婦人のコーヒー”とたとえられる気品ある一杯です。
等級は「アールマッカ」(最高級)や「No.9」などが流通しており、焙煎所によってハンドピックによる選別精度に差があります。
イエメンコーヒーはカルディで販売していますか?
はい、カルディコーヒーファームでは、焙煎珈琲「モカマタリ/200g」という商品名でイエメン産のストレート豆が販売されています。
公式オンラインストアの商品ページには「生豆生産国:イエメン」「ロースト:中煎り」「香り=ワイン様の芳醇」と明記されており、味の傾向も公式に説明されています。
ただし、在庫や販売の有無は店舗や時期によって変動するため、「店頭かオンラインストアで“モカマタリ”の名称を検索」または、最寄り店舗に問い合わせることをおすすめします。
まとめ:イエメンコーヒーの特徴:歴史、おすすめ銘柄やモカマタリと合わせて解説
イエメンコーヒーは、コーヒー発祥の地のひとつとして知られ、15世紀にはイスラム修道士の間で飲まれていた記録も残る、深い歴史を持つ特別なコーヒーです。
高地の乾燥地帯で育ち、天日乾燥された豆は、赤ワインのような芳醇な酸味と果実の甘み、シナモンやカカオを思わせる複雑な香りが特徴。
特に「モカマタリ」は、バニーマタル地区で生産される最高級グレードとして世界中の愛好家から支持されています。本記事では、モカマタリを含むおすすめ銘柄や等級、味の特徴を詳しく解説しました。
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